忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Macoちゃんのネトゲ日誌

仮想ネットゲーム。ネカマくん。








☆Maco☆:はろはろ~(^O^)
りゅういち。:お、はろ~
☆Maco☆:どしたの、露店とか珍しいにゃ~?
りゅういち。:資金繰りですたい
☆Maco☆:りゅーさんお金がないのかww
りゅういち。:こないだ深緑デモナに突っ込んだので。
☆Maco☆:wwwwwwあほだwww
りゅういち。:まこちゃんは、どしたの
りゅういち。:珍しいね、こんな時間に
☆Maco☆:おほほほ
☆Maco☆:明日から
りゅういち。:どした
☆Maco☆:なっつやすみ~☆
☆Maco☆:うらやましかろ(^_^)/~
りゅういち。:う、うらやましくなんかッ・・・畜生学生め
☆Maco☆:りゅーさんはリアルは忙しいの?
りゅういち。:やー
☆Maco☆:やー
りゅういち。:ネトゲできる程度には暇ですたい
☆Maco☆:そかそかー
☆Maco☆:うお
りゅういち。:どした
☆Maco☆:神銀メイス、だと・・・?!
りゅういち。:あ、俺の露店の中身見たのね。拾いもの
☆Maco☆:どこで?!
りゅういち。:ん、普通にリュテイアで
☆Maco☆:うそだろあそこでそんなもんないって!
りゅういち。:本当ですよ
☆Maco☆:なんてこったい/(^o^)\
りゅういち。:Wikiとかに載ってたような
☆Maco☆:ナンダッテー?!検索ピポパ
☆Maco☆:うお、まじじゃないですかー
☆Maco☆:五階の隠し部屋とかしらんかったにゃ・・・
りゅういち。:そんなにメイス求めてたのですか
☆Maco☆:スキル習得に必須なのですにゃ・・・(-_-;)
りゅういち。:ふーん、知らなかった
☆Maco☆:うー、いーなぁ、いーなぁ・・
☆Maco☆:え
りゅういち。:トレード許可しれ
☆Maco☆:え
りゅういち。:許可しれ
☆Maco☆:いややややや
☆Maco☆:もらえないもらえないよ
りゅういち。:別に構わないので
☆Maco☆:ええええええええ
☆Maco☆:そんじゃせめて金受け取ってく
☆Maco☆:なんでトレード枠とじるーーーー!!!!!
☆Maco☆:ぎゃあああああああドロップすんなぁああああああああああああああ
りゅういち。:別にお金もらうつもりじゃなかったし
☆Maco☆:拾ったよ・・・なんてことをするのだ・・
りゅういち。:ならばよし
☆Maco☆:よしじゃなーい(>_<)
☆Maco☆:なんですかこのイケメンは(>_<)
りゅういち。:イケメンじゃないけど
りゅういち。:いつも仲良くしてくれてるお礼
☆Maco☆:金欠のくせにぃいいいい(>_<)
りゅういち。:それは言わないお約束
☆Maco☆:チクショウ、イケメンめぇ・・・・(>_<)

「・・・いや、なにこれ、まさかの展開すぎる」
俺は画面の前で呟いた。画面の中では、無骨な騎士甲冑に身を包んだ男性キャラと、妖精羽根を生やした露出多めの魔法使いキャラが並んで街角に佇んでいる。
ほんとーに、ありがとーね、とチャットログが流れる。いや別に、と素っ気ない返事。なんというかっこつけ男なのだ。
「・・・目の前のキャラの中身が男とも知らないで・・・」
俺がこのネットゲームを始めたのは半年ほど前だ。そのとき女キャラを操作キャラに選んだのは単に、可愛い女の子を操作したほうがテンションが上がるから、という単純な理由だったのだが、いざゲームを開始してみると、驚きのちやほや加減だった。
ネトゲ人口はなんだかんだで男性が多い。貴重な女性は、飢えたオオカミであるところの大多数男子から尊重され、何かと得をすることが多かった。それに味を占めた結果が、俺の今の姿である。
「いやまぁ、俺別に詐欺とかしてないから。リアルでの性別聞かれたときに適当にごまかしてるだけで」
ついでに、本名「誠」からとったハンドルネームの両端に☆とか入れてみたのがギャルくさかったのだろうか。俺は今まで、女性扱いされたことしかなかった。
まぁそれで得することはあっても損することはないし、というわけでちょっと言葉遣いなんかもギャルっぽくしちゃったりして、若干イタイタシイ子になってしまった感は否めないが、まぁそれはそれ。
「お」
画面の中で、佇んでいた騎士キャラが動き出していた。パーティメンバー勧誘。
「どっかクエストでも行かないか、ときたか。おkおk」
俺はチャット欄に自分の希望するクエスト名を打ち込んでみる。二つ返事でOKが来た。
「しかし、・・・・・我ながらさすがにアレは焦っちゃったんだぜ・・」
相当高値で取引されているアイテムを、ちょっとほしがって見せたからってさらっと渡してくるとは。しかも代金を払おうとしたら床にドロップして強制的に拾わせてくるとかどんだけだ。
「ひょっとして本気なのかねこの人・・・」
先頭を行くりゅういちの背中に追従コマンドを打ち込みつつ、俺は考えた。
数ヶ月前に複数参加クエストでたまたま一緒になったのだが、なんだかんだでレベルが似たもの同士。覚えているスキルも戦闘の際に上手くかみ合ったし、会話もそこそこ盛り上がる。いつの間にか一番の友人のような格好になっていた。
よーしせっかくだからコイツを利用してやるぜー☆とおつきあいを続けているが、なんだかんだで普通に楽しい。悪女キャラ(なんだそれ)を気取っている俺だが、若干良心の呵責を感じないこともない。いいやつなのだ、マジで。
いや、コイツはコイツで下心があるのかもしれないが。っていうかあるのだろうが。
ま、いいじゃありませんか、俺に比べたらよっぽどピュアだ。
俺がアイテム精製スキルを取得していないことを知っている騎士が、クエストに必要なアイテムをぽいぽい渡してくる。割合にいつものことなのだが、さっきのこともあって、若干の負い目を感じる。
コイツは、俺が実は男だって知っても、今みたく接してくれるのだろうか。
そんなわけない。
が、それが寂しかった。・・・なんでだ。

りゅういち。:ほい、クエスト終了。
りゅういち。:おつかれ
☆Maco☆:おっつかれ~☆
りゅういち。:ほい、アイテム分配
☆Maco☆:りゅーさんってさぁ
りゅういち。:ん?
りゅういち。:どうした
☆Maco☆:ムッツリスケベ?
りゅういち。:は
☆Maco☆:・・・・そうなのか
りゅういち。:激しく違います。
☆Maco☆:オトコノコは皆、スケベなものであると。
☆Maco☆:昔おかーさまが言っておりました・・
りゅういち。:いやいやそれとこれとは
☆Maco☆:私のことえっちな目で見てるんでしょ~(///>_<)
りゅういち。:違います
☆Maco☆:残念
りゅういち。:残念がるとこなのか
☆Maco☆:がるとこです。
りゅういち。:そりゃ残念
☆Maco☆:ち・・・
りゅういち。:報償アイテムとっとと受け取りなさい
☆Maco☆:はぁ~い(=_=)
りゅういち。:なんだその顔は
☆Maco☆:不服な顔
りゅういち。:何が不服かね
☆Maco☆:りゅーさんがムッツリスケベじゃなかったなんて・・・
りゅういち。:なんだか妙な誤解があるようですね
☆Maco☆:だってーなんか凄く良くしてくれるし
りゅういち。:警戒されてんのか

「う」
鋭いなりゅういち。
つーか俺もなんでこんな話題振ったんだろうか。コイツとの関係は、今のままでずっと続けてゆくつもりだったのに。お互いに下心。それで十分楽しい。なんでわざわざそれをぶちこわすようなことをしてるんだろう。

りゅういち。:心配しなくても大丈夫だから
りゅういち。:だからとりあえずアイテム受け取って。
りゅういち。:タイムリミットくる
りゅういち。:まこちゃん?

だからそうやってなんでそう。やたら優しくするかな。俺は女じゃないんだっての。優しくしても意味ないんだっつの。
カチリ、とマウスが鳴った。「アイテムを受け取りました」の表示が画面に表示され、クエスト画面から抜ける。その瞬間、チャットログに何かが見えた。

りゅういち。:そんなに言うなら
りゅういち。:会ってみる?

暗転。暫くして、クエストを請け負ったギルドの画面まで戻されてくる。その下には、先ほどの発言の続きが記されていた。

りゅういち。:そしたら分かると思う、
りゅういち。:そんな心配いらないの。

「・・・ばかじゃねえの」
俺は呟いた。
何が大丈夫だ。結局は下心じゃねえか。意味分からん。仲良かった女の子を逃がしそうで焦ってるのかよ。無様だ。
すっと何かが冷えた。いいよ上等だ、来いよりゅういち。現実ってのを叩き付けてやる。

☆Maco☆:いいよ
☆Maco☆:こんどの東京イベ、来るって言ってたよね
☆Maco☆:そんとき、待ち合わせしよ



そして。
「茶色のボトムとベージュのジャケットで行く、髪長め」だというりゅういちを、俺は待ち合わせ場所である駅前広場横のコンビニで待っていた。目印であるところの「今週発売のジャンプを持ってる」というのは女子が掲げるアイテムには厳しすぎたがツッコミはこなかった。
「つか、おせえ」
コンビニ前に座り込む俺。待ち合わせ時刻はとっくに過ぎている。が、見渡す限り該当しそうな人物は一人もいなかった。イベント会場に近いからか、人待ち顔のヤツは何人かみかけるのだが。俺の横に立っている女もしきりに時計とか気にしちゃってるし、まぁこれはデートとみたが。
「・・・いやしかし十分遅刻はありえんだろ、女子待たせるなボケ」
実際に待たせているのは女子ではないが。
ともかく俺はりゅういちに毒づいて、事前に交換したりゅういちのメルアドにメールを打った。
『今どこ?コンビニ着いてる?』
やや間が開いて、ちゃろろん、という気の抜けた電子音。俺のかと思ったが違った。隣の女にメールが来ただけだった。
「ひょっとして俺は釣られたのか・・・?」
だとしたらむかつく話だ。そもそもは俺が悪いのだが、だからといって。
ちゃろろん。着信した。メールだ。
『来てる。でも見つからん』
『んなわけない、入り口横に立ってるのに』
送信。横の女が俺を見ていたが無視。
ちゃろろん。また横の女に着信。だから着信音似てんだよテメエ。紛らわしいんだよマジで。
女がじっと俺を見ている。なんだよ。見んな。着信音が一緒で紛らわしいのはアンタも一緒だと思うが。
「あの」
と、思ったら声かけてきやがった。
「はい」
答える。女が狼狽える。不機嫌だったせいで目つきが悪かったのだろう。顔立ちは綺麗だが、若干気弱な風で、地味な印象がぬぐえない女だった。二、三歳年上だろうか。髪がロングヘアで長い。濃い茶色のマキシ丈スカートは似合っているが、上のベージュ色のジャケットはこの季節には若干暑苦しいような・・・
「・・・まこ・・・ちゃん・・・?」
・・・・・おう?

時空が静止した。
「・・・・・・・・・はい?」
女が携帯をいじっている。すぐに俺の携帯が着信した。
『あなたですか?』
イエス俺です。俺は俺ですが。・・・は?
「・・・・りゅういち、ってオマエ?」
女は頷いた。

「・・・・・・・いや、いやども」
近くの喫茶店に入って俺が最初に発した台詞がそれだった。
「こんにちは」
女はぺこりと頭を下げた。
「・・・・・・・なんでりゅういち・・・」
思わず問いかけてしまう。
「・・・HNのもじりで・・龍堂一花。」
なんというヲタ女子ぽいHN。
「本名は?」
「神崎一華。」
・・・元の方がマンガくさかった。つうか育ちの良いお嬢様っぽい名前だなそれ。
「まこ・・ちゃんは?」
「・・・ちゃん付けしないでくれ・・・本名が誠なんで。高橋誠」
「おおぅ・・高橋君」
ていうか。ていうか。
「待ってくれマジありえないありえない」
俺は呻いた。いやいやいや。目の前の女とネトゲの中のやたらイケメンなりゅういちが結びつかんぞ。
「・・・・まじで?まじでりゅういち?」
「そっくりそのまま返したい」
女が、いや、名前を聞いたのだから名前で呼ぼう、一華が自分の膝元を一心に見つめながら言った。
「実は、まこちゃんの、あなたは、お兄さん」
「ちげぇ」
俺は一人っ子だ。
「・・・つうか、あれだ、オマエこそ偽物だろ、りゅういちはオマエの兄」
「一人っ子ですので」
そんなところはかぶらなくてよろしい。

適当に注文したコーヒーとシナモンティーラテが運ばれてくるまでの間に大体俺と一華は情報を交換し終えた。
とりあえず、俺も一華も間違いなく本物であること。別に俺がオカマ趣味ではないこと。女キャラのお得感にうっかりやらかしてしまって至る今であること。一華が男装趣味だったりするわけではないこと。
「男キャラのほうが、戦士系やるならキャパがお得だったりするし」
一華が、コーヒーをブラックですする。
「それと、ちょっとトラウマもあって」
「トラウマ?」
俺は、シナモンティーラテに砂糖をぶちこみながら尋ねた。ぐるぐると混ぜるとシナモンの甘い香りがあたりに漂う。
「元々ね、全然別のネトゲをしてた時期があって。そのときは女キャラだったんだけど」
一華はぼそぼそと話し始めた。
「数人、よくしてくれた男の人がいて。でもなんだか、そのうち、家どこなのとか、ブログやってないのとか。毎日メールとかが来るようになって。変なこと言われたり。」
それでそのゲームを結局やめ、メルアドを変え、暫くして始めたのが今のゲームらしい。
「ネットゲームで他の人と仲良くなるのは好きだけど、あんなことになるのはもう嫌だと思って。男の子のフリしてれば、そういうのはないかなぁと」
そして、一華はふっと顔を上げる。
「・・・だから、あんなカンジな、まこちゃんがちょっと心配だったわけで。んで構ってたのが下心に見えたなら謝ります」
「むしろ俺が猛烈にすいません」
俺は謝った。土下座の勢いだった。


りゅういち。:おつかれ。
☆Maco☆:ど
☆Maco☆:も
りゅういち。:どうしたの?
☆Maco☆:まだ構っていただけるのですか
りゅういち。:何故にそんなことを言う
☆Maco☆:いや、なんつうか、騙してたというか、なんというか
りゅういち。:あのあと行ったイベント楽しかったじゃないか
☆Maco☆:いや、帰宅直後にメアド変えられてぶっつりコースかと
りゅういち。:なんでさ
☆Maco☆:いや、わたくしが最低男だから
りゅういち。:いや、まこちゃんはかわいいよ
☆Maco☆:は
りゅういち。:リアルなまこちゃんも可愛かったよ
☆Maco☆:意味がわからん
りゅういち。:お砂糖ぐるぐるかき回したりが猛烈に可愛らしゅう御座いました
☆Maco☆:な
りゅういち。:しかもシナモンティーラテですってよ奥様
りゅういち。:あんな、ちょっと茶髪な格好いい系の男の子がシナモンティーラテ
りゅういち。:間違いなく今日出会ったのはまこちゃんでありました
りゅういち。:可愛らしゅうございました
☆Maco☆:腐ってやがる・・・早すぎたんだ・・・
りゅういち。:俺は正常です
☆Maco☆:ナンテコッタイ/(^o^)\

そういえばイベントのパンフをさらっと受け取って渡してくれたあたりとか。たまたま当選したプレミアムアイテム引換券をあっさり譲ってくれたりとか。一華はリアルでもりゅういちっぽかったなぁと思う。
俺もそんなカンジでマコっぽかったんだろうか。・・・それは嫌なのだが。

りゅういち。:次、どのクエスト行きたい?
☆Maco☆:りゅーさんが行きたいとこでおkだよ
りゅういち。:じゃあ、グレートロック
☆Maco☆:ちょwwwwwしwwぬwww
りゅういち。:神銀メイスあげたじゃないか がんばりたまえ
☆Maco☆:無wwww理wwww
りゅういち。:だって金がないのですたい
りゅういち。:あそこには伝説の金塊があるとクエスト依頼文に
☆Maco☆:貧乏人にはつきあわない(^_^;)
りゅういち。:じゃあ一人で行ってこよう
☆Maco☆:待って行きます行かせてください
りゅういち。:なんで
☆Maco☆:一人死なせるのは忍びない
りゅういち。:ういやつめ
☆Maco☆:(>_<)
りゅういち。:連理の木に身体結い、死ぬまいか
☆Maco☆:?
りゅういち。:曽根崎心中
☆Maco☆:お、お代官様・・・・
りゅういち。:全然違います
☆Maco☆:(゜◇゜)ガーン
☆Maco☆:それより私、りゅーさんと行きたいトコあるなぁ~
りゅういち。:ん?どこ?
☆Maco☆:今度の横浜イベ☆
りゅういち。:な
☆Maco☆:なんちゃって~♪
りゅういち。:いいぜ来いよ
☆Maco☆:ホワッ?!
りゅういち。:うむ、面白そうだ
りゅういち。:幸い休みも空いておる
りゅういち。:いくぞまこちゃん、横浜へ
☆Maco☆:・・・りゅーさん以外と乗り気・・
☆Maco☆:絶対拒否だと思ったのに
りゅういち。:横浜で肉まんほおばる愛らしいまこちゃんを鑑賞することにします
☆Maco☆:待ってイベントはどうしたの
りゅういち。:ははははははは
☆Maco☆:誰か助けてこの人痴漢です
りゅういち。:ははははははは
☆Maco☆:ねえちょっとマジで待って、俺そんな女っぽかったですか
りゅういち。:ははははははは
☆Maco☆:男子の沽券に関わるんです、あの、改めたいんです女々しいんなら!
りゅういち。:ははははははは
☆Maco☆:ちょっとーーー?!?!

ちなみに横浜もたいそう楽しかったことを記しておくことにします、はい。









ネカマとネナベのお話。
一瞬BLぽいがBLでないという訳の分からなさ。
この二人は普通にキャラとして面白そうです。普通にデートとかさせてみたい。

拍手

PR

Copyright © THIS PURPLE BEAUTIFUL SCENERY : All rights reserved

「THIS PURPLE BEAUTIFUL SCENERY」に掲載されている文章・画像・その他すべての無断転載・無断掲載を禁止します。

TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]